ゼクシィ結婚トレンド調査2024によると、挙式・披露宴の招待人数の平均は52.0人。コロナ前の2019年には66.3人だったことを考えると、わずか5年で約2割減少した計算になる。さらに注目すべきは、招待人数30人以下の「少人数婚」を選ぶカップルが全体の3割を超えたことだ。大人数を招いて盛大に祝う結婚式から、本当に大切な人だけを招いて丁寧に過ごす結婚式へ。2026年のウェディングシーンは、この流れがさらに加速している。
・少人数婚(マイクロウェディング)が定着した背景と具体的な費用感
・ナチュラルウェディングで人気の会場タイプとサステナブル演出
・フォトウェディングの最新トレンドと費用の目安
・海外挙式の復活状況と人気エリア
・スタイル別の費用比較表で自分に合う選択がわかる
結婚式の形が変わりつつある
コロナ禍が「当たり前」を壊した
2020年から2022年にかけてのコロナ禍は、結婚式のあり方を根本から問い直す契機となった。大人数の会食が制限され、親族すら参列できない時期を経験したカップルたちは「そもそも100人呼ぶ必要があるのか」という疑問を抱くようになった。
興味深いのは、制限が解除された2023年以降も、少人数婚を選ぶカップルが減らなかったことである。むしろ増えている。これは単なるコロナ対策の名残ではなく、結婚式に対する価値観そのものが変わったことを意味する。
かつては「会社の上司や取引先も招待するのが常識」とされていた。しかし今は、仕事上の付き合いと私的な祝いの場を明確に分けるカップルが増えている。招待客を絞ることは「ケチ」ではなく「丁寧」と受け止められる時代になった。
こうした意識の変化は、費用面にも表れている。総額は下がっても、一人あたりの料理やギフトにかける金額はむしろ上がっている。「広く浅く」から「狭く深く」への転換が、数字にもはっきりと出ているのだ。
Z世代カップルの結婚式観
2026年に結婚適齢期を迎えるのは、1990年代後半から2000年代前半生まれのZ世代である。デジタルネイティブとして育った彼らの結婚式観は、親世代とは大きく異なる。
最大の特徴は「自分たちらしさ」への強いこだわりだ。ウェディングプランナーによると、Z世代のカップルは既存のパッケージプランを選ばず、一つひとつの演出を自分たちでカスタマイズしたがる傾向が強いという。テンプレート通りの披露宴より、手作り感のある空間を好む。
SNSの影響も見逃せない。InstagramやTikTokで「映える」結婚式の情報に日常的に触れているため、ビジュアルへの感度が高い。ただし「映え」のためだけに費用をかけるのではなく、自分たちの世界観を表現する手段としてデザインを重視する傾向がある。
また、サステナビリティへの意識が高いのもZ世代の特徴だ。使い捨てのプラスチック装飾を避け、ドライフラワーや再利用可能な素材を選ぶカップルが増えている。「環境に配慮した結婚式」は、もはや一部の意識高い層だけの選択ではなくなっている。
多様化するウェディングスタイル
現在のウェディング市場を見渡すと、選択肢の多さに驚かされる。従来型の「ホテルウェディング」「ゲストハウスウェディング」に加え、マイクロウェディング、ナチュラルウェディング、フォトウェディング、elopement(駆け落ち婚)、さらにはメタバースウェディングまで登場している。
重要なのは、これらが単なる流行ではなく、それぞれ明確なニーズに応えている点だ。マイクロウェディングは「人間関係を大切にしたい」というニーズに、フォトウェディングは「思い出は残したいが挙式は不要」というニーズに応えている。
式場側もこの多様化に対応を迫られている。かつては200人規模の披露宴会場を持つことが競争力だったが、今は10〜30人向けの小さな個室や、自然光が入るフォトジェニックな空間を持つ会場の人気が高い。業界全体が「大きいことはいいことだ」から脱却しつつある。
この記事では、2026年に特に注目度が高い3つのスタイルを詳しく見ていく。マイクロウェディング、ナチュラルウェディング、フォトウェディングである。
マイクロウェディングの魅力
「30人以下」で生まれる親密な空間
マイクロウェディングとは、一般的に招待人数30人以下の結婚式を指す。親族と本当に親しい友人だけを招き、一人ひとりとしっかり向き合う時間を大切にするスタイルである。
大規模な披露宴との最大の違いは、ゲストとの距離感だ。100人規模の披露宴では、新郎新婦が各テーブルを回るだけで精一杯になりがちである。しかし20人程度なら、全員と落ち着いて会話し、食事を共にする余裕が生まれる。
参列者側の満足度も高い。「新郎新婦とほとんど話せなかった」という大規模披露宴あるあるとは無縁で、全員が「主役に祝福を直接伝えられた」と感じられる。招待される側にとっても、少人数の場に選ばれたこと自体が特別な意味を持つ。
演出面でも自由度が高い。定番の「ケーキ入刀」「キャンドルサービス」を省き、代わりに全員参加のワークショップや、ゲスト一人ひとりへの手紙を読む時間を設けるカップルもいる。形式にとらわれない、自分たちだけの時間を作れるのがマイクロウェディングの真骨頂だ。
費用の内訳と相場
マイクロウェディングの総額は100万〜200万円が目安である。大規模披露宴の平均総額が約300万〜400万円であることを考えると、総額では大幅に抑えられる。
ただし、一人あたりの単価は高くなる傾向がある。料理はコース料理のグレードを上げ、引き出物も一律ではなくゲストごとにパーソナライズするケースが多い。一人あたり3万〜5万円の飲食費をかけるカップルも珍しくない。
会場費は、ホテルの個室やレストランの貸切で20万〜50万円程度。大きな宴会場を借りる必要がないため、会場選びの幅も広がる。一軒家レストランや古民家を貸し切るという選択肢も現実的だ。
ご祝儀収入は人数が少ない分だけ限られるが、自己負担額で見ると大規模披露宴と大差ないケースも多い。「総額は安いが、ご祝儀も少ない」ということを事前に理解しておくことが大切である。
会場選びのポイント
マイクロウェディングの会場選びで最も重要なのは「ちょうどいいサイズ感」である。100人収容の会場に20人で入ると、どうしても寂しい印象になる。逆に、少人数専用の空間であれば、温かみのある雰囲気が自然に生まれる。
人気が高いのはレストランウェディングだ。料理のクオリティが担保されており、個室やフロア貸切に対応してくれる店舗も多い。特にミシュラン星付きレストランやオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)は、特別感を演出しやすい。
最近注目されているのが、一棟貸しのヴィラやグランピング施設での挙式だ。宿泊を兼ねることで、前日の夜から翌朝まで、ゲストとゆっくり過ごせる。特に遠方から集まるゲストが多い場合、宿泊の手配も含めてワンストップで対応できるメリットがある。
会場選びの際は、最低保証人数にも注意したい。ホテルの宴会場などでは「最低30名から」という条件がつくことがある。事前に少人数対応の可否と、追加料金の有無を確認しておくことが重要だ。
ナチュラルウェディングの潮流
ガーデンや森での挙式が支持される理由
ナチュラルウェディングとは、自然の中で行う結婚式の総称である。ガーデン、森、海辺、高原など、屋外の自然環境を活かしたロケーションで挙式・パーティを行うスタイルだ。
支持される最大の理由は「開放感」にある。天井のない空間で風を感じながら誓いを交わす体験は、ホテルの宴会場では得られない。特に木漏れ日の差す森の中でのセレモニーは、写真映えも抜群で、ゲストの記憶に強く残る。
季節感を楽しめるのもナチュラルウェディングの魅力だ。春なら桜、初夏なら新緑、秋なら紅葉と、その時期にしか味わえない景色が会場装飾そのものになる。人工的なフラワーアレンジメントでは出せない、自然の圧倒的なスケール感がある。
ただし、天候リスクは避けられない。雨天時のバックアッププランは必須であり、テント設営や室内への切り替え動線を事前に確保しておく必要がある。この点を「デメリット」と捉えるか「それも含めて楽しむ」と捉えるかで、ナチュラルウェディングの満足度は大きく変わる。
サステナブルな演出の具体例
ナチュラルウェディングと相性が良いのが、サステナブル(持続可能)な演出である。環境への配慮を「制約」ではなく「おしゃれな選択」として取り入れるカップルが増えている。
代表的な例が、ドライフラワーやプリザーブドフラワーの活用だ。生花は式の翌日には枯れてしまうが、ドライフラワーなら自宅に持ち帰って長く飾ることができる。くすみカラーのドライフラワーブーケは、ナチュラルな雰囲気とも相性が良い。
招待状のペーパーレス化も進んでいる。Web招待状サービスを利用し、出欠管理からメッセージ収集まで一括で行うカップルが増えた。紙の招待状を完全に廃止するのに抵抗があれば、親世代には紙、同世代にはWebという使い分けも現実的だ。
テーブル装飾では、使い捨てのプラスチック小物を避け、陶器やガラス、木製の食器を使うケースが目立つ。引き出物もエコバッグやオーガニック食品など、日常使いできるものが選ばれる傾向にある。「もらって嬉しい」と「環境にやさしい」を両立させる工夫が求められている。
レストランウェディングという選択
ナチュラルウェディングの一形態として見直されているのが、レストランウェディングである。特に、テラス席やガーデンスペースを持つレストランは、屋外の開放感と屋内の快適さを兼ね備えた選択肢として人気が高い。
レストランウェディングの最大の利点は、料理のクオリティだ。結婚式場の料理は「大量調理」になりがちだが、レストランなら日頃の腕前をそのまま発揮してくれる。ゲストの満足度に直結するポイントである。
費用面でも、専門式場やホテルに比べて会場費が抑えられる傾向にある。持ち込み料が発生しにくい点もメリットだ。ドレスやカメラマンを自分で手配すれば、さらに費用を調整できる。
注意点としては、レストラン側のウェディング対応力にばらつきがある点だ。専任のウェディングプランナーがいない場合、進行や演出の段取りをカップル自身で考える必要がある。フリーのウェディングプランナーに依頼するという選択肢も検討に値する。
フォトウェディングの進化
スタジオからロケーション撮影へ
フォトウェディングとは、挙式や披露宴を行わず、ウェディングドレスやタキシードを着て写真撮影だけを行うスタイルである。「結婚式はしないが、記念写真は残したい」というカップルに支持されてきた。
かつてのフォトウェディングは、スタジオ内でポーズを取って撮影するのが主流だった。しかし近年はロケーション撮影(屋外撮影)が主流になりつつある。海辺、神社、洋館、花畑など、ロケーション自体がドラマチックな背景となる。
撮影技術の進化も見逃せない。ドローンによる空撮や、シネマティックな動画撮影を組み合わせるプランが増えている。写真だけでなく、1〜2分のショートムービーを制作してSNSで共有するカップルも多い。
ロケーション撮影の人気スポットとしては、沖縄のビーチ、京都の竹林、軽井沢の教会、横浜の洋館などが定番だ。2026年は北海道のラベンダー畑や、瀬戸内海の島々など、地方のユニークなロケーションへの関心も高まっている。
費用の目安と含まれるもの
フォトウェディングの費用は10万〜50万円が一般的である。挙式・披露宴に比べると圧倒的に安く、「結婚式にお金をかけたくない」というカップルにとって現実的な選択肢だ。
スタジオ撮影のシンプルなプランであれば10万〜15万円程度。衣装1着、ヘアメイク、撮影データ数十カットが含まれる。ロケーション撮影になると20万〜35万円程度に上がり、衣装2着、出張ヘアメイク、撮影データ100カット以上というプランが一般的だ。
50万円前後の上位プランでは、アルバム制作、動画撮影、複数ロケーションでの撮影が含まれる。沖縄やハワイなど遠方でのロケーション撮影は、渡航費・宿泊費を含めるとこの価格帯になることが多い。
注意すべきは「追加料金」の存在だ。土日祝日の割増、衣装のグレードアップ、データの全カット納品などがオプション扱いになっているケースがある。見積もりを取る際は、基本プランに何が含まれ、何が含まれないかを必ず確認すべきである。
海外挙式の復活
コロナ禍で一時壊滅的な打撃を受けた海外挙式が、2024年頃から本格的に復活している。円安の影響で費用は上がったものの、「一生に一度の体験」として海外を選ぶカップルの意欲は根強い。
最も人気が高いのは依然としてハワイである。日本語対応のチャペルやプランナーが充実しており、親族の旅行を兼ねられる点が支持されている。挙式のみなら80万〜150万円程度(円安の影響で変動あり)、パーティを含めると150万〜250万円が目安だ。
グアムはハワイより近く(飛行時間約3.5時間)、費用も抑えられるため、気軽な海外挙式先として再注目されている。バリ島はリゾート感とコストパフォーマンスのバランスが良く、ヴィラ貸切の挙式プランが人気だ。
2026年のトレンドとしては、挙式とフォトウェディングを組み合わせた「ハイブリッド海外婚」が増えている。現地で簡単なセレモニーを行い、複数のロケーションでフォト撮影。帰国後に国内でカジュアルなパーティを開くという二段構えのスタイルだ。時差や長距離移動の負担を考慮し、ゲストは国内パーティにのみ招待するケースが多い。
まとめ──結婚式スタイル別費用比較
ここまで紹介した4つのスタイルを、費用・人数・準備期間で比較すると以下のようになる。
| スタイル | 費用目安 | 招待人数 | 準備期間 | こんな人に向いている |
|---|---|---|---|---|
| マイクロウェディング | 100万〜200万円 | 10〜30人 | 3〜6か月 | 親しい人と丁寧に過ごしたい |
| ナチュラルウェディング | 150万〜350万円 | 20〜80人 | 6〜12か月 | 自然の中で開放的な式を挙げたい |
| フォトウェディング | 10万〜50万円 | 2人(+家族) | 1〜3か月 | 写真は残したいが挙式は不要 |
| 海外挙式 | 50万〜250万円 | 2〜20人 | 6〜12か月 | 旅行と挙式を兼ねたい |
| 従来型披露宴(参考) | 300万〜500万円 | 60〜100人 | 6〜12か月 | 大勢に祝ってもらいたい |
どのスタイルが「正解」かは、カップルの価値観と優先順位による。費用を抑えたいならフォトウェディング、ゲスト体験を重視するならマイクロウェディング、非日常感を求めるならナチュラルウェディングや海外挙式が候補になる。
大切なのは「周りがこうしているから」ではなく、「自分たちは何を大切にしたいか」を二人で話し合うことだ。2026年の結婚式は、選択肢がかつてないほど広がっている。その自由を活かし、自分たちだけのスタイルを見つけてほしい。
なお、この記事に記載した費用はあくまで目安であり、地域・会場・時期によって大きく変動する。具体的な見積もりは、複数の会場やプランナーから取り寄せて比較することをおすすめする。