劇場版『名探偵コナン』は、1997年の第1作『時計じかけの摩天楼』から2026年の最新作『ハイウェイの堕天使』まで全29作を数える。毎年公開される新作は常に話題を呼ぶが、過去作の中にも色褪せない名作が多数存在する。「どれから観ればいいのか」「次に観るべき1本はどれか」。この記事では、複数のファン投票データと作品の完成度を掛け合わせ、歴代ベスト10ランキングを選出した。初心者からコアファンまで、次の1本選びの参考にしてほしい。

この記事でわかること
  • 歴代コナン映画ベスト10ランキング(ファン投票+独自評価)
  • 各作品の見どころと、どんな人に向いているか
  • 全29作の一覧表と配信情報
  • 初心者向け:最初の3本はこれを観ろ

ベスト10ランキング:1位〜3位

映画フィルムのイメージ

1位:ベイカー街の亡霊(2002年・第6作)

興行収入34.0億円。舞台は仮想現実ゲーム「コクーン」の中に再現された19世紀のロンドン。コナンと少年探偵団が、シャーロック・ホームズの時代を舞台にしたサバイバルゲームに挑む。ゲーム内で死ぬと現実世界に戻れないという緊張感の中、子どもたちが知恵と勇気で謎を解いていく。

この作品が20年以上経った今も1位に君臨し続ける理由は、「コナンでしかできない物語」を完璧に実現したからだ。推理、アクション、友情、そして「大人が作った理不尽なルールに子どもが立ち向かう」という普遍的なテーマ。複数のファン投票で常にトップ3に入り、2016年の公式人気投票では2位を獲得している。子どもの頃に観た人が大人になって再評価する「世代を超える名作」だ。

コナンを全く知らない人でも楽しめる独立した物語構造を持つ。初心者に最初の1本として勧めるなら、この作品が最有力候補である。

Point:VRゲームという舞台設定が2020年代に再評価
公開当時は「コナンらしくない」と賛否があったが、VR技術が普及した現在、その先見性が改めて評価されている。20年以上前にメタバース的体験を描いた作品として、テクノロジー好きにも刺さる。

2位:瞳の中の暗殺者(2000年・第4作)

興行収入25.0億円。毛利蘭が記憶喪失になるという衝撃の展開で幕を開ける。コナンは蘭を守りながら、警察関係者を狙った連続狙撃事件の真相を追う。遊園地でのクライマックスは、シリーズ屈指のアクションシーンとして語り継がれている。

この作品の最大の見どころは、新一(コナン)と蘭の関係性が最も美しく描かれている点だ。記憶を失った蘭がコナンに見せる無防備な信頼と、それに応えようとするコナンの必死さ。ラストの観覧車でのシーンは、コナンファンなら誰もが知る名場面である。電撃オンラインの投票では6,284票を獲得して1位に輝いたこともある。

「コナンと蘭のラブストーリー」に興味がある人に最適。恋愛要素が強いが、ミステリーとアクションもしっかり両立しており、エンターテインメントとしての完成度が極めて高い。

Point:「Need not to know」の名台詞
新一が蘭に向けて放つ英語のセリフは、コナンシリーズで最も有名な名言のひとつ。この一言のためだけに映画を観る価値がある。

3位:ゼロの執行人(2018年・第22作)

興行収入91.8億円。安室透(降谷零)がメインの作品で、「安室の女」という社会現象を巻き起こした。サミット会場爆破事件を巡り、小五郎が容疑者として逮捕される。コナンは安室の真意を探りながら、公安警察の闇に迫る。

この作品がランキング3位に入る理由は、「コナン映画のターニングポイント」としての歴史的価値にある。興行収入でシリーズを一段上のステージに押し上げ、女性ファンを大量に取り込んだ。安室透のトリプルフェイスの真髄が描かれ、SNSでは#コナン関連ツイートが前年の3倍以上に急増した。

安室透ファンはもちろん、「大人向けのポリティカルサスペンス」が好きな人に強く推したい。IoTテロやサイバー攻撃など現代的なテーマを扱っており、子ども向けアニメの枠を完全に超えている。

Point:安室透を知る最高の入門作
安室透に興味があるなら、まずこの1本。公安警察官としての覚悟、黒の組織への潜入者としての仮面、私立探偵としての顔。そのすべてが凝縮されている。

ベスト10ランキング:4位〜7位

東京の夜景

4位:黒鉄の魚影(2023年・第26作)

興行収入138.8億円。シリーズ初の100億円突破を果たした記念碑的作品。灰原哀と黒の組織の因縁が物語の核で、八丈島の海洋施設「パシフィック・ブイ」を舞台にした緊迫のサスペンスが展開される。

灰原哀というキャラクターの魅力が凝縮された1本だ。組織に正体がバレるかもしれないという緊張感の中で、彼女が見せる覚悟と弱さの両面が丁寧に描かれている。コナンと灰原の関係性にも大きな進展があり、ファンにとっては見逃せないエピソードとなった。

灰原哀ファン、黒の組織のストーリーに興味がある人に最適。ただし、黒の組織に関する予備知識があるとより楽しめるため、完全な初心者よりは、TVアニメを数話観た後に観ることを勧める。

Point:灰原哀の「もうひとつの顔」が見られる
普段はクールで毒舌な灰原が、組織の影に怯え、それでも前を向こうとする姿は、この映画でしか見られない。灰原推しなら必見の1本。

5位:迷宮の十字路(2003年・第7作)

興行収入32.0億円。舞台は京都。服部平次がメインキャラクターとして活躍し、弓道と義経伝説を絡めた本格ミステリーが展開される。平次と和葉の恋愛模様も見どころだ。

コナン映画の中で最も「和」の美しさを感じられる作品だ。京都の名所が次々と登場し、桜のシーズンと重なる公開時期も相まって、聖地巡礼の先駆けとなった。2016年の公式ファン投票では1位を獲得しており、根強い人気を誇る。平次の「お前、俺の和葉に何さらしとんじゃ」は名セリフとして知られる。

京都好き、服部平次ファン、本格ミステリーが好きな人に最適。東京ではなく地方を舞台にした作品の良さを存分に味わえる。

Point:コナン映画で唯一の「純和風ミステリー」
義経と弁慶の伝説、五条大橋、鞍馬寺。日本の歴史と伝統が推理に絡む構成は、この作品だけの持ち味だ。外国人ファンからの評価も特に高い。

6位:ハロウィンの花嫁(2022年・第25作)

興行収入97.8億円。警察学校組が初めて劇場版で大きくフィーチャーされた作品で、松田陣平の過去と現在の爆弾事件が交差するサスペンスが展開される。渋谷のハロウィンを舞台にした派手なアクションも見どころだ。

警察学校組の魅力を大スクリーンで体験できる1本。5人の青春時代の回想シーンは、漫画やTVアニメでは得られない没入感がある。「全員が揃うことのない5人が、回想の中でだけ揃う」演出は、多くのファンの涙を誘った。100億円時代への助走となった作品としても重要。

警察学校組ファン、安室透ファンに最適。今作『ハイウェイの堕天使』の予習としても非常に有効で、萩原千速の名前も本作で言及されている。

Point:今作『ハイウェイの堕天使』への最重要布石
警察学校組の物語を映画で初めて体験するなら、この1本がベスト。『ハイウェイの堕天使』との直接的な繋がりもあり、2026年の今こそ観る価値がある。

7位:天国へのカウントダウン(2001年・第5作)

興行収入29.0億円。ツインタワービルを舞台にした爆破サスペンス。黒の組織のメンバーも登場し、コナンと少年探偵団がビルからの脱出を試みる。2001年の作品だが、そのスケール感は今観ても色褪せない。

アクション映画としての完成度が群を抜いている。ビルの屋上から隣のビルに車で飛び移るクライマックスは、コナン映画史上でもトップクラスのスペクタクルだ。少年探偵団の活躍が光る作品でもあり、子どもたちの勇気と知恵が事件解決の鍵を握る。

アクション映画好き、少年探偵団ファン、黒の組織に興味がある人に向いている。初期作品ならではのシンプルで力強いストーリーテリングが楽しめる。

Point:「コナン映画のアクション」の原点
近年のコナン映画の大規模アクションの原型がここにある。ビル爆破、カーアクション、時限爆弾。21世紀最初のコナン映画にして、アクションの基準を作った。

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ベスト10ランキング:8位〜10位

日本の風景

8位:100万ドルの五稜星(2024年・第27作)

興行収入158.0億円でシリーズ歴代最高記録。函館を舞台に、怪盗キッドと服部平次が「因縁の対決」を繰り広げる。北海道の歴史的建造物を絡めた謎解きと、キッドの正体に迫る展開がファンを熱狂させた。

興行収入こそ歴代1位だが、ランキングでは8位とした。理由は、作品の楽しさが「キッドと平次の関係性」に大きく依存しており、両キャラクターへの思い入れがないと魅力が半減するからだ。逆に言えば、キッドファンと平次ファンにとってはこれ以上ない作品である。

怪盗キッドファン、服部平次ファン、函館に行きたい人に最適。聖地巡礼との相性が抜群で、映画を観た後に函館を訪れるファンが殺到し、五稜郭タワーの来場者は前年比1.3倍に増加した。

Point:聖地巡礼の完成形
函館の五稜郭、ロープウェイ、旧公会堂。映画の舞台がそのまま観光コースになる。ラッピング市電やコナンの車内アナウンスなど、自治体ぐるみのコラボは前例のない規模だった。

9位:純黒の悪夢(2016年・第20作)

興行収入63.3億円。安室透と赤井秀一が劇場版で初めて本格的に激突する作品。黒の組織のメンバー・キュラソーを巡り、公安とFBIと組織の三つ巴の攻防が描かれる。コナン映画の興行収入が飛躍的に伸び始めたターニングポイントだ。

安室透と赤井秀一のライバル関係を初めて映像で堪能できる。観覧車でのアクションシーンは劇場版コナンの中でもトップクラスの迫力で、大スクリーンで観る価値がある。黒の組織の裏切り者・キュラソーの悲しい運命も見どころだ。

安室透ファン、赤井秀一ファン、黒の組織のストーリーを追いたい人に向いている。この作品から安室と赤井の人気が爆発し、その後の100億円時代の礎を築いた。

Point:安室vs赤井:シリーズ最高のライバル対決
公安のエースとFBIの切り札が、互いの信念をぶつけ合う。この対立構造が、後の『ゼロの執行人』での安室単独主演につながった。

10位:時計じかけの摩天楼(1997年・第1作)

興行収入11.5億円。記念すべきシリーズ第1作。連続爆破事件を巡り、コナンが推理とアクションで犯人に迫る。シンプルだが骨太なミステリーと、新一から蘭への想いが交差するクライマックスは、今観ても感動的だ。

すべてはここから始まった。29作を重ねた現在から振り返ると、第1作の「原点の輝き」がより際立つ。派手なCGも特殊フォーマットもない時代に、純粋な推理と人間ドラマで勝負した作品だ。ラストで蘭が赤と青のコードを選ぶシーンは、コナン映画を象徴する名場面として語り継がれている。

コナンの原点を知りたい人、シンプルな推理映画が好きな人に向いている。近年の作品と比べるとアクションは控えめだが、その分ミステリーとキャラクターの心理描写に集中できる。

Point:「赤い糸」のラストシーン
爆弾の赤と青のコードを選ぶ蘭。その選択に込められた「新一への信頼」は、コナンシリーズ全体を貫くテーマの原型だ。すべてのコナンファンが一度は観るべき原点。

全29作一覧と鑑賞ガイド

ポップコーンと映画

初心者が最初に観るべき3本

コナン映画を初めて観る人には、以下の3本を推奨する。いずれも予備知識なしで楽しめ、かつコナンの魅力を最も効率よく理解できる作品だ。まず『ベイカー街の亡霊』で「コナン映画の最高傑作」を体験し、次に『瞳の中の暗殺者』で「コナンと蘭の関係性」を知り、最後に『ゼロの執行人』で「現代のコナン映画の凄さ」を実感する。この3本で、初期・中期・後期のベストを押さえられる。

時間がない人は、まず『ベイカー街の亡霊』の1本だけでいい。この作品は原作の知識がゼロでも完全に楽しめるよう設計されている。逆に、黒の組織やキャラクターの関係性に興味がある人は、『黒鉄の魚影』や『純黒の悪夢』から入ると、コナンの世界観により深くハマれるだろう。

重要なのは「公開順に観る必要はない」ということだ。コナン映画は基本的に1作完結であり、どの作品から入っても物語を理解できる。気になるキャラクターや舞台を基準に選ぶのが、最も楽しい鑑賞方法だ。

配信で観られるサービス

2026年4月現在、コナン映画はHulu、Amazon Prime Video、U-NEXT、dTV、Netflix(一部)などの配信サービスで視聴可能である。特にHuluは劇場版全作品に加え、TVアニメシリーズも網羅しており、コナンの予習には最も適したサービスだ。

金曜ロードショーでの放送も見逃せない。新作公開前には毎年3〜4週連続で過去作が放送されるため、無料で予習できる貴重な機会だ。2026年は『ハイウェイの堕天使』公開記念として4週連続放送が予定されている。

なお、レンタルの場合はApple TV、Google Play、Amazonでの個別購入も可能だ。1作あたり400〜500円程度で視聴できるため、気になる作品だけピンポイントで観たい人にはこちらが向いている。

全29作一覧

公開年タイトル興行収入メインキャラ
11997時計じかけの摩天楼11.5億円新一×蘭
2199814番目の標的18.5億円小五郎
31999世紀末の魔術師26.0億円怪盗キッド
42000瞳の中の暗殺者25.0億円新一×蘭
52001天国へのカウントダウン29.0億円少年探偵団
62002ベイカー街の亡霊34.0億円コナン×探偵団
72003迷宮の十字路32.0億円平次×和葉
82004銀翼の奇術師28.0億円怪盗キッド
92005水平線上の陰謀21.5億円小五郎×蘭
102006探偵たちの鎮魂歌30.3億円オールスター
112007紺碧の棺25.3億円蘭×園子
122008戦慄の楽譜24.2億円コナン
132009漆黒の追跡者35.0億円黒の組織
142010天空の難破船32.0億円怪盗キッド
152011沈黙の15分31.5億円コナン×探偵団
16201211人目のストライカー32.9億円コナン×探偵団
172013絶海の探偵36.3億円コナン
182014異次元の狙撃手41.1億円赤井秀一
192015業火の向日葵44.8億円怪盗キッド
202016純黒の悪夢63.3億円安室×赤井
212017から紅の恋歌68.9億円平次×和葉
222018ゼロの執行人91.8億円安室透
232019紺青の拳93.7億円怪盗キッド
242021緋色の弾丸76.5億円赤井ファミリー
252022ハロウィンの花嫁97.8億円警察学校組
262023黒鉄の魚影138.8億円灰原哀
272024100万ドルの五稜星158.0億円キッド×平次
282025隻眼の残像147.4億円赤井ファミリー
292026ハイウェイの堕天使公開前萩原千速

まとめ:タイプ別おすすめ

映画鑑賞のイメージ

29作もあれば、どれを選ぶかは観る人の好みによって変わる。以下に、読者のタイプ別におすすめ作品をまとめた。

あなたのタイプおすすめ作品理由
完全な初心者ベイカー街の亡霊予備知識ゼロでも楽しめる最高傑作
ラブストーリー好き瞳の中の暗殺者新一×蘭の関係性が最も美しく描かれる
安室透ファンゼロの執行人トリプルフェイスの魅力が凝縮
灰原哀ファン黒鉄の魚影灰原の過去と覚悟が描かれる
アクション好き天国へのカウントダウンビル爆破アクションの原点
京都好き迷宮の十字路京都の名所×和風ミステリー
怪盗キッドファン100万ドルの五稜星キッドの正体に迫る最新作
警察学校組ファンハロウィンの花嫁5人の絆を大スクリーンで体験
黒の組織に興味がある純黒の悪夢安室vs赤井の頂上決戦
原点回帰したい時計じかけの摩天楼すべてが始まった第1作

コナン映画は30年近くにわたって毎年新作が公開され続けている、日本映画史上でも稀有なシリーズだ。どの時代の作品にも、その時代ならではの魅力がある。このランキングをきっかけに、まだ観ていない1本に出会えたなら幸いである。